根の治療について
根の治療は、生きている神経の痛みを取るために神経を除去する場合、あるいはすでに神経を取っている歯が何らかの原因で再び感染を起こした場合などに行います。
歯の根っこはとても複雑な形をしています。特に奥歯は２本以上、場合によっては４本の根っこがあるため、さらに状況は複雑になります。根の治療を行うときは、それぞれの根っこを細い針のようなものでこつこつと手作業で掃除し、きれいになったら防腐剤をつめます。細くて複雑な根っこを掃除するため、治療には非常な繊細さが必要とされ、最低でも２～３回、こじれてしまっているとかなりの期間を治療に費やすことになります。ただ、昔はそこまでひどくなると抜歯することも多かったようです。それが根の治療を行うことでなんとか歯を抜かずに済むかもしれないということを考えると、大きな進歩だと思います。手作業で行うチマチマとした治療なので、患者さんにとっても歯科医にとっても大変なのですが、きちっと丁寧に治療することがその歯の寿命を大きく左右します。
根の治療は、歯科医にとってもとても手間とコストのかかる治療です。逆に言うと、、安易に抜いたりインプラントにしたりするのではなく、根の治療をきちんとしてくれる歯医者さんは誠実な良い歯医者さんである可能性が高いのではないかと思います。歯科医である私が見ても、きちんと根の治療をしてくれている場合は冠などもきれいなことが多いと思いますし、良い治療をされているな・・・と治療をされた先生に対する尊敬の気持ちすら浮かぶものです。
治療自体が多少の刺激を伴うために治療の過程で痛みが出ることもあります。もちろん、治療によって改善する場合がほとんどなのですが、根の周りにバイ菌が巣を作ってしまい、薬の効果が現れない場合は,外科処置をすることもありますし、どうしても治らない場合は抜歯して根の周囲を掃除しないといけないこともあります。
とにかく、神経をとってしまうといろいろな意味で歯の寿命の予測が難しくなります。神経を取らなくてはならないほど虫歯が大きくなる前に治療しましょう。そのためにも、定期検診をおすすめします。
